狂おしいほどに、恋の戯曲を
《拓人》



「川崎さーん、今日はいつ帰れんの?」



「…これだけ周りは騒いでるってゆうのに、暢気なやつだな。」



「それほどでもー。」
「褒めてないからな。」


赤信号の合間にギロっと睨まれて数分後、車が停車して「降りろ。」と言われて外を見ると俺のマンション。



「えっ、まだ昼なのに、帰宅許可?」



「なに嬉しそうな顔をしてるんだ。あくまでも謹慎処分、なんだからな。」



へいへいと呟いて車を降りた。


「川崎さん、すごく迷惑かけてるのは分かってるよ。ごめん。」


「本当に困ったやつを持ったよ。…ま、俺に任せとけ。」


そう言ってひらひらっと手を振って去っていった。




さあて、やっと今日はユイに会えそうだ。
最近少し会えないだけで苛々するし、会えると少しでも触れたくなる。

ユイが戸惑ってるのも分かってるけど、それすらも愛しくて仕方がない。



< 53 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop