狂おしいほどに、恋の戯曲を
「痛くない?大丈夫?」
「大丈夫、です…。」
シャワーの冷たい水が気持ちいい。
「ちょっと赤くなってる。」、と春日さんはまるで自分がそうであるかのように辛そうな表情になった。
「ユイ、ほんとに痛くない?」
「ほんとに大丈夫です。ごめんなさい…。」
「え、なんで謝んの?」
「…だって、わたし、迷惑……。お皿もダメにしちゃったし…。」
「皿なんてまた買えばいいだろ。そんなの気にしなくていいから。」
春日さんに優しくそう言われて、じわっと涙が滲んだ。
「えっ、わ、ちょ、やっぱ痛い!!?」
声にならなくて、頭を振った。
なんでこんなに優しくするの?
これじゃ私、もっと好きになっちゃうよ。
そうして思ったのは、やっぱり私はどこにいたって邪魔者なんじゃないかってこと。
美知流さんも、もし私みたいなのが春日さんと暮らしてるって知ったらどう思うだろう。
普通に考えて、嫌に決まっている。
だからもう、言ってしまおう。
ズルズル引きずるのはよくない。
「春日さん、わたし……」
ん?と優しく尋ねてくれる春日さんに、心から謝った。
「私、春日さんのお仕事、知ってるんです……」
語尾は震えて、浴室に溶け込んでいった。