狂おしいほどに、恋の戯曲を


「っえ、あの、」

「病人は静かにしてろ!
はい、ここ使っていいから早く寝ること!」


有無を言わせない春日さんの瞳に、黙って頷いた。


そうして寝室を出て行こうとする春日さんは、「あ」と言って振り返った。



「そういや、名前なんていうの。」


「あ……。
長谷川 由依(はせがわ ゆい)です。」


「ユイ、ね。
おやすみユイ。」


「あ、おやすみなさい…。」


思わずそう返してしまい、やっぱり出て行かないと、と思いつつも
気付けば眠りについていた。






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