教授との融点
箱の中のヒナを確認して部屋を出た。


半歩前を歩く初瀬尾教授の背中が圭吾とダブってしまう。


だって無理。


裏切れました、ハイそうですか、って、そんな簡単に気持ちはしぼまない。


あんな仕打ちをされても圭吾を想ってしまうあたしは、ホントにバカだと思う。


笑った圭吾の顔。


あたしの作ったご飯を食べる圭吾。


肩を並べて一緒に歩く圭吾。


どの圭吾も2年という月日と一緒にあたしの中にこびりついて離れない。


こんなに好きだよ…。


こんなに愛してるよ…。


圭吾は違ったの?


簡単にあたし達のあの部屋で違うコを抱ける程、あたしへの気持ちは軽かったの?


ねぇ、圭吾…。
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