教授との融点
初瀬尾教授の茶色がかった瞳は、きっとあたしの何もかもを見透かしてる。


けど、打ち明けられる相手じゃない。


教授と助手。


あたしと教授は、それ以上でもそれ以下でもないから。


それきり何も言わず15分程歩いて、教授はボロボロの一軒家の前で足を止めた。


「ココ…ですか?」


「そ。スゲー佇まいだろ?良く言えば歴史のある趣」


「フフッ…。そうですね?」


チャイムを鳴らして玄関に入ると、所狭しと脱ぎ捨てられた靴。


かき分けて教授の靴を丁寧に並べた。


茶の間に入ると、ウチのゼミの子もほとんど来ていて、今かと乾杯の声がかかるのを待ってる様子。
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