教授との融点
「あの…」


小さく声を出してみたけど、返事はない。


迷ったけど、部屋の中に誰かいないか探してみた。


けれど簡素で殺風景な部屋には、誰のかげもない。


困ったな…。


鍵も持ってないので、勝手に出て行く事もできない。


とりあえず、この部屋の主が帰ってくるまで待つ事にした。


進むケータイの時計表示がやけに遅く感じる。


それでも、バッグの中からメイク道具を取り出し化粧を軽く直してみたり、髪を整えてみたり。


カーテンのひかれたままの薄暗い部屋でテレビをつけさせてもらって、なんとか時間をやり過ごして、夕方6時を回ったところで玄関から音がした。


思わずソファーから立ち上がる。
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