教授との融点
圭吾を通り抜けて、あたしは次々と荷物をトラックに運んだ。


思い出の品は全て残して。


「結奈、好きだ、愛してる。変わんねーよ、だからさ、謝るからさ、オレんトコに戻って来いよッ」


「もう…。もう圭吾の言葉はあたしに響かない。何も感じないの。こんな形で終わっちゃうなんて、ね…」


「オレは終わらせるつもりなんてねーよッ!教授となんてウソだろ?オレにはわかるよ、結奈は教授なんて想ってない、今でもオレだろ?ほら、今ならやり直せるだろ?結奈ッ!!」


掴まれた手首を振りほどいて教授の胸にしがみついた。


「お前に青山を想う権利なんてない。行こう、青山」


圭吾を見ても、涙も出なかった。


これでホントにおしまい。


あたしと圭吾は。


おしまい…。
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