教授との融点
「おはようございます、初瀬尾教授」


「おはよう。新しいアパートはどう?」


「ハイ、おかげさまで快適です。色々ありがとうございました」


「なんか吹っ切れたみたいだな?」


「なんとなくですけど…1人っていいです」


「今はそんな気分か。そうだ、スズメのヒナ、もうすぐ飛べそうだぞ?」


土日は教授が面倒を見てくれていて、元気に餌も食べていたらしく、ピーピーとよく鳴いている。


「お世話、あたしがしなくちゃならなかったのに、スイマセン」


「見殺しにするほど、オレもひとでなしじゃないさ。ただ、またそのスイマセンももらうよ?」


「そうですね。あ、新しいオーブンでクッキー焼いたんです。良かったらスイマセンの分はコレで」


「んー…。今はまだその程度か。ま、いいや、ありがたくもらうよ」


「ハイ。それで、えっと…講義、必要な物は?」


「今日は特にないから、小鳥の研究なり水棲昆虫なりするといい。明日までにこのプリント刷っておいてくれればいいよ」
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