意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜
「どうして、そう思うの?」

「だって、裕樹先輩は『微笑みの貴公子』と呼ばれるように笑顔が素敵で優しいんだもん。私の初恋の人なんだよ?」

「そう? じゃあ、裕樹君の事を考えてみて? どんな感じがする?」

私はパーラーでの裕樹先輩を思い浮かべた。

「ん…よくは思い出せないんだけど、暖かい感じと言うか、安心感みたいな? 裕樹先輩って、雰囲気がお兄ちゃんに似てるんだ…」

「そう? 胸がキュンとした?」

「ううん、しなかった。あ、今した。やだ、ドキドキする…」

パーラーでの事を思い出していたら、不意にアイスコーヒーを飲む水嶋先輩を思い出して…

「他の人を思ったんじゃない?」

「うん。み、水嶋先輩が…」

「メグは水嶋君から『可愛い』って言われたのよね?」

その瞬間、私の顔が一気に熱くなった。ボッて火が点いたようだった。
< 102 / 187 >

この作品をシェア

pagetop