意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜
部活が始まる前、私は勇気を出して水嶋先輩に声を掛けた。

「先輩」

「おお」

「あの…」

「ん? なんだ?」

水嶋先輩の一重で凛々しい目で見下ろされ、私の顔は火が出るほど熱くなった。

「部活の後、お話したい事があるんですけど…」

「分かった。じゃあ一緒に帰るか?」

「はい」

「じゃあ、体育館の前で落ち合おう」

「はい。よろしくお願いします」

ハアー。言えた…
後は気持ちを伝えるだけだ。
今のやり取りで、告白する勇気が持てた気がする。

その日の部活は、水嶋先輩にどう言おうかとか、先輩はどんな返事をしてくれるのかとか、そんな事ばかり考えていて身が入らなかった。
< 109 / 187 >

この作品をシェア

pagetop