意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜
「ただいま…」

「お帰り…て、どうしたの?」

「何が?」

「何がって、びしょ濡れじゃない」

「ああ、雨降ってるから…」

「傘は? 今朝、持って出たでしょ?」

「うん。鞄に入ってると思うよ」

「だったらどうして差さなかったのよ?」

「さあ…」

「さあって、メグ、何かあったの?」

「別に…」

「とにかく、すぐにお風呂に入りなさい。風邪引くわよ」

「はーい」

と返事はしたものの、動く気力がなくて、玄関に突っ立ったままの私を、お母さんが引っ張った。

「お母さんが入れてあげるから、来なさい」

「はーい」


「まったくもう、子供みたいなんだから…」

「子供だもん」

お母さんに服を全部脱がしてもらって、私は湯舟に体を沈めた。
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