意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜
何だろうと思ってそっちに目をやると、数人の女子が興奮気味に、私に向かっておいでおいでをした。

前に水嶋先輩のファンから呼び出された事を思い出し、嫌な予感がしたけど、仕方がないので私は重い腰を上げた。

よろよろしながらドアの所まで行くと、そこにいたのは微笑みの貴公子、こと裕樹先輩だった。

「やあ。ちょっと話がしたいんだけど、今いいかな?」

「あ、はい」

私は正直なところ体がキツくて、人と話をするどころではなかったけど、断るのは先輩に失礼だと思い、仕方なく裕樹先輩に着いて行った。

歩くのも辛くて、どこでもいいから早く話をしてほしいと思ったけど、そんな事を言えるわけもなく、黙って着いて行くと裏庭へ連れて行かれた。

「誰にも見られたり、聞かれたりしたくなくてさ」

「はあ」

「俺、こういうの初めてなんで緊張しちゃうんだけど…」

「………」

「俺と付き合ってくれないかな?」
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