意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜
私が降りる駅に着いた。そう言えば、先輩の駅はどこなんだろう。

「じゃあ、私はここで降りますので」

「おお、そうだったな」

先輩は私の手を引いて立たせてくれ、肩を抱いて電車を降りるまで支えてくれた。

電車を降りて、『ありがとうございました』と私が言うと、先輩が屈んでいた。

「さあ、掴まれ」

「え、だって…、あ」

電車のドアが閉まってしまった。

「家まで送って行くから、早く掴まれ」

「すみません…」

私はまた先輩の背中におんぶしてもらった。

「家までは、歩きでいいのか?」

「はい。10分くらいです」

「分かった。道案内してくれよ」

「はい」

駅前の商店街は、人が大勢いて恥ずかしかった。知ってる人に見られないといいんだけど…
< 126 / 187 >

この作品をシェア

pagetop