意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜
商店街を抜けると住宅街になり、人もまばらになってやっと落ち着いた。

「寒くないか?」

「少し」

本当はすごく寒かった。

「俺の背中にピタッと付けば、少しは温かいんじゃないか?」

どうしよう…。確かにそうかもしれないけど、恥ずかしいなあ。

と思いながらも、私は先輩の背中に胸と頬をピタッと付けた。

「温かいです」

「だろ?」

「先輩って、本当は優しいんですね」

「『本当は』は、余計だけどな」

「先輩」

「ん?」

「好きな人はいますか?」

「なんだよ、いきなり」

「いますか?」

「いるよ」

「長いですか?」

「いや、最近だ」

「嘘言わないでください」

「嘘じゃないぞ」

「嘘つき!」

「おい、痛いからやめろよ」

私は後ろから先輩の頭をポカポカとぶった。泣きだしたのが、ばれないように。
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