意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜
先輩は私をひょいと抱き上げた。

「ひゃっ」

「お母さん、靴を脱がしてあげてください」

「あ、はいはい」

先輩は素早く自分の靴を脱ぎ、私を抱いたまま家に上がった。

「いったい何事だ?」

あちゃー。お兄ちゃんが来ちゃったよ…

「え? 水嶋?」

お兄ちゃんは先輩と、先輩に抱き上げられた私を交互に見て、目を丸くしていた。

「どうも」

先輩はそれだけ言い、さっさと階段を上がり始めた。

「先輩、危ないですから」

「ああ。だからしっかり掴まっとけ」

「あ、はい」

私は言われるままに、先輩の首にしがみついた。
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