意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜
「いえいえ、全然軽かったですよ」

「まあ。水嶋さんは逞しいのね」

お母さんは私のブラウスのボタンをプチプチプチと外していった。

「ちょっと、お母さん!」

私は慌ててブラウスの前を掻き合わせた。

「あら、ごめんなさい」

「じゃあ、僕はこれで失礼します」

先輩は私から目を逸らしながら言った。少し顔が赤くなってるみたい。ブラ、見えちゃったかな。

「あら、もうお帰りなんですか? ゆっくりなさって?」

「いえ、帰ります。恵さん、お大事に」

「あ、はい。ありがとうございました」

先輩から『恵さん』って言われて、びっくりした。いつも『おまえ』って呼ぶから、もしかして私の名前を覚えてくれてないのかなと、思っていたから。
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