意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜
「そうか。だったら…」

「はい?」

「いや、何でもない」

「だったら、何ですか? 気になるから言ってください」

「今度話すよ。じゃあ、これで帰るな」

そう言って、先輩はスクッと立ち上がった。

先輩の背中を見ていたら、昨日おぶってもらった事を思い出した。

気が付けば、私はその背中に抱き着いていた。

「行かないで」

「どうした?」

「振り向かないでください」

先輩が振り向こうとしたので、私は先輩のお腹に周した手に、ギュッと力を込めた。

「この前言いたかった事を、言ってもいいですか?」

「おお」

「……好きです」

するとガバッと先輩が振り返った。

「振り向かないでって言ったのに…」

私は恥ずかしくて下を向いた。
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