意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜
「知ってるよ」

先輩は私の肩をがっちり掴んでいた。

「みんな見てるから、手をどかしてください」

「嫌だね」

そう言って、先輩は私の肩にまわした手にますます力を入れたので、私は先輩に抱き寄せられた格好になった。

『何よ、あれ』

『嘘でしょ?』

『止めて〜!』

女子達の悲鳴はますます激しくなった。

「恥ずかしいから、放してください」

「放したら、機嫌を直すか?」

「直します」

「俺の事、イヤラシイとか言わないか?」

「言いません」

「じゃあ放してやるけど、その前に…」

チュッ

『きゃ〜っ』

お、おでこに、キスされた。しかも、みんなが見ている前で。

信じられない…

私は俯いて、とぼとぼ歩いた。
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