意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜
思い出したみたいで、先輩はニヤニヤしてる。憎たらしい!

「加奈ちゃんに乗り換えたらどうですか?」

「拗ねるなよ、恵ちゃん。でも拗ねたり怒ったりしたおまえって、可愛いくて好きだけどな」

耳元で囁かれて、悔しいけど胸がキュンとなっちゃった。


そんな他愛のない会話をしている内に、家に着いた。

「ただいま〜」

「お帰り〜。あら、いらっしゃい」

お母さんは先輩を見て、なぜか嬉しそうだ。

「先輩がお兄ちゃんのCD聴きたいって言うから、私の部屋に来てもらっていい?」

「いいわよ」

「すみません。おじゃまします」

「どうぞ、どうぞ」

私と先輩は靴を脱ぎ、階段を登ろうとしたところで、お兄ちゃんが現れた。

「ダメだ」
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