意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜
「生意気言うんじゃない。だったら俺が引っ張ってやる」

そう言って、水嶋先輩はまた私の腕を掴もうとした。

「分かりました。ちゃっちゃと歩きます」

私は先輩の手を振りほどき、頬を膨らませて言った。

「ったく…、丸っきりのガキだな、おまえは」

「なっ……」

く、悔しい…!



水嶋先輩の家は私の家と方向が同じらしく、同じ電車に乗った。

と言っても、『お家はどちらですか?』なんて聞かない。と言うより、そもそも私達はずっと無言だった。

ああ、嫌だ嫌だ。先輩、早く電車を降りてくれないかな…
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