意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜
制服に着替えて体育館を出ると、今日も水嶋先輩は待っていてくれた。

「お待たせしました」

「おお。帰るぞ」

「はい」

私は歩き出した水嶋先輩の横にピタッと着いた。

「ん? 今日はやけに素直だな?」

「そうですか? という事は、前は素直じゃなかったって事ですか?」

「そうだな。俺を避けてたろ?」

「そんな事は…」

「ある、よな?」

「だって、先輩が意地悪ばかり言うから…」

「意地悪? そんな覚えはないぞ。例えば?」

「えっと…忘れました」

思い出そうとすれば出来ると思うけど、そんな事はもう、どうでも良かった。

「何だ、それ。変な奴だなあ」

「そんな事より先輩、今日は本当にありがとうございました」

「おお。分かったから、何度も言うなよ」
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