意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜
「それにしてもアンタは図々しいと言うか、恐れ知らずと言うか…」

はあ? どういう意味?

「遼様は女が近付くのを嫌がるんだよ。それを強引に近付こうなんて、全くいい度胸してるよ、アンタ。ファンクラブの私達でさえ、遼様に近付かないっていうのにさ」

「別に私は…」

「別にって、何だい?」

『別に私は無理に近付いたわけじゃない』と言いかけてやめた。
それを言うと、余計にややこしくなりそうだから。

「何でもありません。すみませんでした」

面倒臭いから謝っちゃった。

「まあ一年じゃ知らなかったのも無理ないから、今回は許してやるけど、今度ふざけた真似をしたらタダじゃ済まないからね、覚えておきなよ」

「………」

「返事は?」

「水嶋先輩に強引に近付く事はしません」

「何か引っ掛かる言い方だけど、分かればいいのよ」

そう言って、上級生達は去って行った。

暴力を振るわれなかっただけ、マシかなあ。
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