意地悪な先輩〜バレー部の二人の王子〜
「あの…、何かアドバイスをいただけると、嬉しいんですけど…」

私の念力が通じたようで、蚊の鳴くような小さな声だけど、加奈ちゃんがしゃべった。

「ん…そうだなあ、2セット目はほぼ100パーセント決めてたのに、3セット目は決定率が60パーセントぐらいに落ちたろ? その辺が課題だろうな」

確かにそうだった。さすがに水嶋先輩はよく見てるな…

「つまり、2セット目のセッター、つまり竹中さんのトスが良かったって事だね?」

そう言って裕樹先輩は私にウインクした。

「そんな事は…」

私が頬を赤らめていると、左の浅田先輩がイラッとしたように感じた。

気のせいかなとも思うけど、そう言えば浅田先輩はちっとも会話に加わっていなかった。
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