ワンダー、フルカラー
「…常識の範囲でお願いします。」

私はちゃんと臼田くんと向き合って、子供に還ったような彼の言葉を待つ。
そんな中の沈黙が少しだけ痛く感じた。

「根津さんの目、」

そして、臼田くんの口から出てきた言葉。

「目?」
「はい。」

尋ね返すのと同時に、臼田くんの手が私の顔に伸びてきた。
本日2回目となる彼の顔タッチ…再び顔に熱が込み上がってくる。

「…落ち着くので見ていても良いでしょうか。」
「え…」

そして意外なお願いに、口が半開きになってしまう。

(目…?)

そう言えばさっきも私と目を合わせたがっていたような気がするけれど…さっきも気持ちを落ち着かせたくて目を見たがっていたのだろうか?
だとしたらもの凄く悪いことをしてしまった。私のことを頼ってくれていたのに突き放すようなことをしてしまって…

「…ちょっとだけね?」

正直臼田くんと目を合わせるって言うのは私の心臓によろしくないのだけれど…頼られているのなら我慢して彼に視線を合わせていよう。さっきのお詫びも兼ねて頑張ろう。

「ふふ、ありがとうございます。」

臼田くんは嬉しそうに笑い、そして触れている私の顔をお礼とともに撫でてきた。
くすぐったい…しかしこれは何か、恋人同士っぽくて勝手にときめくことが出来るから素晴らしく良い。
動悸息切れが半端ないけれども。目の前にいる臼田くんは私を見て嬉しそうに笑ったままだし…何でそんなに平然と私のことを見ていられるのだろうかこの男。

「根津さんの目、ビー玉みたいで綺麗だから見ていると落ち着くのですよ。」
「えええ…!」

それを聞いた瞬間、臼田くんの物事の基準?のようなものとか全く分からなくなかった。
ビー玉みたいって…茶色いビー玉なんて見たことないのですが。っていうか私の目はガラス細工ですか?
そもそもビー玉を見て落ち着かせる人とか始めて聞いた。

「目玉くり抜きたいですね。」
「やめてください殺す気デスカ。」
「冗談です。」

それと同時に、これからの生活に少しだけ不安を感じた。
どうしよう?眠っている間に目玉がなくなっていたら…本気で目玉がガラス細工になりそうだ。不思議くんのレッテルを貼られている臼田くんならやりかねないぞ!
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