ワンダー、フルカラー
「臼田くん、夕飯のおかず冷食で足りる?」

私は彼に振り返り、手に取った適当な弁当のおかず用の…冷凍食品を彼に見せながら彼に尋ねる。
父さんを見ていれば分かる。男性っていっぱい食べるから、こんな弁当用のおかずが腹の足しにならないことぐらい。

「すみません…」

しかし臼田くんはしょんぼりとしたまま了承をして、どれが良いかと冷凍食品を手に取り探りだした。

「た、足りるの?」

小さなおかずを見て唸っている彼の姿は見ていると内心焦ってしまう。
まるでいろんなおかずの大きさを見比べては物色しているかのように見えてくるのだ。遠慮されてしまうとあまり気分が良くない。

「足ります。大丈夫です。」

臼田くんはいっぱいある種類のうちの小さい3種類のおかずを選ぶと、袋を開けて口元を緩めた。

「今日は疲れてしまって食欲が沸かないので…このくらいのサイズのおかずでちょうど良いのですよ。」
「本当に?」
「本当です。」

『それにお菓子も頂きましたし』と付けたして、臼田くんは私の顔を覗き見る。
綺麗な顔に綺麗な瞳。優しい笑顔を浮かべる彼に思わず釣られて笑ってしまった。
そして、その顔をよく見れば色は若干青くて。だから彼の言っていることは本当なのだと思う。

「じゃあ早く食べて寝よう?」
「はい。」
「…星空見たいとか言って外に出たり、家の中を探検したいとか言って歩き回るのとかナシだから。」
「…何故バレたのでしょう?」
「え!マジでやろうとしてた!?」

やりそうだと思って注意してみたことが的中して、嬉しい反面目が離せないと思った今日この頃でした。
彼が滅多に来ないところに来たら探検をしたがるのは、実は小さい頃から変わらない。
今の高校に入学をした時も、彼は入学式をサボり学校内の探索を優先したくらいだ。そこから彼の不思議伝説が始まったのは言うまでもない。
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