ワンダー、フルカラー
「まさか栗井が動物に興味のある人間だったとは…」
「動物って言ってもインコにしか興味ないけどな。」

インコはインコでもハヤブサだけにしか興味なんか持ってはいないのだけれども。
根津に確認してもらったところ、ハヤブサと思われるインコ(青いインコ)を拾った場所というのは、俺の地元にある近所の高校・『八千代高校』だったらしい。
近所+青いインコ…確立的に考えるとハヤブサしかいないだろう。家の近辺にインコを飼っている人間はいないから、99%ハヤブサで間違いない。俺の中の天使が言っている。
現在俺は、仕事が終わった根津と一緒にそのハヤブサであろうインコを見に、根津の家へと向かっている。と言うより連れていってもらっている。
根津の家は学校から10分程度歩いた場所にあるらしく、車にも乗らずに奴は歩きで学校まで来ているのだとか。まさかのエコな人間であったことを意外に思った。

「ここが俺ん家だぞ。」

本当に10分キッチリと歩いた場所で根津は立ち止まり、目の前にある一軒家を指で差して。奴は俺に家の表札を嬉しそうに見せてくる。

「すげ…」

だらしがない根津の事だ。きっとアパートとかマンションとかに住んでいるに違いない。…1年生の頃からそんな想像をしていた。
しかしその想像は一瞬にして粉々にされてしまった。奴の家は少し洒落た大きめな一軒家だったのだ。

「流石公務員っていうか…」
「夢を壊すようなことを言うんじゃねぇ。」

だって公務員って収入が安定しているし、給料だってそれなりに良いから学生がそう思ってしまうのは仕方がないことじゃないか。純粋なのは小学校の低学年までだぞ。

「家ん中で入って良いのはリビングとトイレだけだからな?他の部屋に入ったら補習だぞ。」
「行かねぇよ!」
「よし、じゃあ入れ。」

学校から出てもう自由だっていうのにこのおっさんは…根津の補習は地獄だって聞いたことがあるから冗談じゃねぇよ。絶対に受けたくない!
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