ワンダー、フルカラー
何だかんだで根津に門を潜らされて、俺はまぁまぁ広い根津の家の敷地内に入れられる。
庭には特に何もなかった。あると言えば花壇のようなものがあるけれど、そこには何も植えられておらず、茶色い土がむき出し状態になっていた。
根津はカバンの中にある鍵を取り出して家への扉を開き、大きな声で『帰ったぞー!』とか言って。玄関に入ってしばらくすると、奥の方からバタバタと足音が聞こえてきた。
そして、
「父さん!」
根津のことを『父』と呼ぶ、恐ろしい人間が俺の目の前に現れる。
この世の終わりでも見たような気分だ。
「真夜子、電話で言った奴を連れて来たぞ。インコをリビングに連れて来い。」
(真夜子って…!?)
真夜子ってどこかで聞いた名前だ…とか思ったけれど、どこで聞いたのかすぐに思い出す俺。
根津が電話をしている時に口にしていた相手の名前だ。他にも『爽助』がいて…っていうか『真夜子』って根津の女じゃなくて、
「栗井、俺の愛娘の『真夜子』だ。」
「やっぱり娘!?」
信じられない!!
だってさ、だってだぞ?根津って今まで独身オーラを出しまくっていて学校の誰しもが『独身男』だと思っていたんだぞ?そんな雰囲気の奴なのに愛娘がいただって?
「…似てねぇ。」
信じられる訳がない。
おまけに全く似ていねぇ…本当に根津の娘なのこの女子…
「よく言われる。」
俺が呟いた言葉に対して、根津の娘は苦笑いを浮かべながら言葉を返して。俺の目の前へとやって来ると手を差し出した。
「父さんが担任って聞いたから…同い年かな?私も高3なんだ。」
「そ、そうなのか…」
「真夜子って言います。よろしくお願いします。」
おお…ここもまた根津に全く似ていない。礼儀が正しいぞ。
「俺は栗井睦月…よろしく真夜子。」
俺は簡単すぎる自己紹介をすると、目の前に出された根津の娘の…真夜子の手を取り軽く握る。
女子の手だなんて久しぶりに握ったな…とにかく細い。気を付けないと折ってしまいそうだ。
庭には特に何もなかった。あると言えば花壇のようなものがあるけれど、そこには何も植えられておらず、茶色い土がむき出し状態になっていた。
根津はカバンの中にある鍵を取り出して家への扉を開き、大きな声で『帰ったぞー!』とか言って。玄関に入ってしばらくすると、奥の方からバタバタと足音が聞こえてきた。
そして、
「父さん!」
根津のことを『父』と呼ぶ、恐ろしい人間が俺の目の前に現れる。
この世の終わりでも見たような気分だ。
「真夜子、電話で言った奴を連れて来たぞ。インコをリビングに連れて来い。」
(真夜子って…!?)
真夜子ってどこかで聞いた名前だ…とか思ったけれど、どこで聞いたのかすぐに思い出す俺。
根津が電話をしている時に口にしていた相手の名前だ。他にも『爽助』がいて…っていうか『真夜子』って根津の女じゃなくて、
「栗井、俺の愛娘の『真夜子』だ。」
「やっぱり娘!?」
信じられない!!
だってさ、だってだぞ?根津って今まで独身オーラを出しまくっていて学校の誰しもが『独身男』だと思っていたんだぞ?そんな雰囲気の奴なのに愛娘がいただって?
「…似てねぇ。」
信じられる訳がない。
おまけに全く似ていねぇ…本当に根津の娘なのこの女子…
「よく言われる。」
俺が呟いた言葉に対して、根津の娘は苦笑いを浮かべながら言葉を返して。俺の目の前へとやって来ると手を差し出した。
「父さんが担任って聞いたから…同い年かな?私も高3なんだ。」
「そ、そうなのか…」
「真夜子って言います。よろしくお願いします。」
おお…ここもまた根津に全く似ていない。礼儀が正しいぞ。
「俺は栗井睦月…よろしく真夜子。」
俺は簡単すぎる自己紹介をすると、目の前に出された根津の娘の…真夜子の手を取り軽く握る。
女子の手だなんて久しぶりに握ったな…とにかく細い。気を付けないと折ってしまいそうだ。