ワンダー、フルカラー
驚いた。物音が全くしない場所で久しぶりに『爽ちゃん』と呼ばれたから。
そのせいで体の震えが止まってしまった…そんな自分にも驚かされた。
「謝る前にまずは『ありがとう』を言わないと。」
真夜は僕の肩に頭を乗せながら、優しい口調で僕に意見をする。
「いっぱい爽ちゃんのことを捜してくれたんでしょ?それで見つからなくて混乱しちゃったんでしょ?いっぱい心配してくれたんでしょ?」
「………」
「過保護で重たいと思う人もいるけど、爽ちゃんはそんなこと思ったことないでしょ…大好きだからこそ自分がしたことに後悔して、今こうやって泣いているんでしょ?」
…真夜は凄い。
まさか諭してくれるとは思いもしなかった。泣いていることもバレバレだなんて…そして何より、彼女がこんなに親身になってくれるだなんて思いもしなかった。
けれど、大変申し訳ないけれど…
「……お礼、だなんて言えません。」
というより、お礼を言うという行為は頭の中に今まで浮かばなかった。今の今まで償うことで頭がいっぱいだったから。
「言えると思った時で良いんだよ。」
真夜は僕の肩から頭を離すと、その場に立ち上がり、僕のことを見下ろした。
「会えるうちに言えば良い。後悔する前に言えば大丈夫。」
親指をグッと立てて言うその姿はどこか逞しく見える。
しかしどこか寂しそうに言って、下に置いてある花を見つめたから…自分の後悔話をしていたということを悟った。
彼女の母親に感謝の言葉を言えなかったから…真夜はずっと後悔しているのだろう。優しい人だから。
「…ありがとうございます。」
真夜といると調子が狂う。今に始まったことではないけれど、たまに誰よりも大人になって困り事を聞いてくれて…彼女を独占出来るその時が、一番好きだ。
「良いってことさ。」
背後の夕焼け空に映えるような笑顔で笑う真夜を見て、僕に笑顔が戻ってきた時に立ち上がって彼女を見下ろす。
…近いうちに言いに行こう。今の気持ちを保っていられれば、おじいさんに、あの日のことに感謝が出来そうだ。
おばあさんには会える日が来た時に伝えたい。
そのせいで体の震えが止まってしまった…そんな自分にも驚かされた。
「謝る前にまずは『ありがとう』を言わないと。」
真夜は僕の肩に頭を乗せながら、優しい口調で僕に意見をする。
「いっぱい爽ちゃんのことを捜してくれたんでしょ?それで見つからなくて混乱しちゃったんでしょ?いっぱい心配してくれたんでしょ?」
「………」
「過保護で重たいと思う人もいるけど、爽ちゃんはそんなこと思ったことないでしょ…大好きだからこそ自分がしたことに後悔して、今こうやって泣いているんでしょ?」
…真夜は凄い。
まさか諭してくれるとは思いもしなかった。泣いていることもバレバレだなんて…そして何より、彼女がこんなに親身になってくれるだなんて思いもしなかった。
けれど、大変申し訳ないけれど…
「……お礼、だなんて言えません。」
というより、お礼を言うという行為は頭の中に今まで浮かばなかった。今の今まで償うことで頭がいっぱいだったから。
「言えると思った時で良いんだよ。」
真夜は僕の肩から頭を離すと、その場に立ち上がり、僕のことを見下ろした。
「会えるうちに言えば良い。後悔する前に言えば大丈夫。」
親指をグッと立てて言うその姿はどこか逞しく見える。
しかしどこか寂しそうに言って、下に置いてある花を見つめたから…自分の後悔話をしていたということを悟った。
彼女の母親に感謝の言葉を言えなかったから…真夜はずっと後悔しているのだろう。優しい人だから。
「…ありがとうございます。」
真夜といると調子が狂う。今に始まったことではないけれど、たまに誰よりも大人になって困り事を聞いてくれて…彼女を独占出来るその時が、一番好きだ。
「良いってことさ。」
背後の夕焼け空に映えるような笑顔で笑う真夜を見て、僕に笑顔が戻ってきた時に立ち上がって彼女を見下ろす。
…近いうちに言いに行こう。今の気持ちを保っていられれば、おじいさんに、あの日のことに感謝が出来そうだ。
おばあさんには会える日が来た時に伝えたい。