ワンダー、フルカラー
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栗井くんと話していた。かなりの至近距離で。
顔は近いし足は触れているし、少女漫画の世界だったら主人公はきっとときめいていたに違いない。私は漫画の主人公ではないからそんなことは一切思わないけれど、美味しい光景であるとか変なことばかりしか思い浮かばなくて…とにかく場違いなことばかりを考えていたせいで、彼の存在に全く気が付かなかった。
「そ、爽ちゃん…?」
私の肩に、爽ちゃんの手がある。
そして、爽ちゃんの温もりを背後に感じて…少し斜め上を見上げてみれば、人でも殺したのかと問い質したくなるような目付きで栗井くんのことを睨んでいて。こんな顔の爽ちゃんは初めて見た。
「クリームくん、真夜に近付きすぎです。」
私の肩にあった爽ちゃんの手は頭へとやって来る。
栗井くんの方を向いていた私の頭は完全に彼の方へと向かされた。
「お前こそ真夜子と近すぎだろ。」
「僕はいつものことだから良いんですよ。」
「良いんだ!?」
栗井くんの質問返しに強気でとんでもないことを言い出す爽ちゃん。
思わずツッコミを入れてしまったけれど…彼はちゃっかりと『良いんです』と私に返答をしてくれた。ちゃっかりさんめ。
しかし『いつものこと』って…そうだっけ?私、いつも爽ちゃんにここまでくっ付かれていたっけ?
「そもそも臼田さ…お前、真夜と俺が話しているだけで何でそうやって怒るんだよ?」
軽い口調で栗井くんが爽ちゃんへと尋ねると、爽ちゃんの口からは重々しいドスの利いた舌打ちが飛び出してくる。
ヤバい…昔の優しい爽ちゃん像が音を立てて崩れていきそう。
「あなたが向ける真夜への視線が不愉快だからですっていうか生理的にあなたという存在を受け付けていない。」
(どんな理由!?)
失礼すぎだよ爽ちゃん!!生理的に栗井くんを拒絶しているだなんてそんな…それって栗井くん自体が嫌いなんじゃないか!視線が不愉快云々っていうより栗井くんが嫌いって言えば伝わるじゃないか!
栗井くんと話していた。かなりの至近距離で。
顔は近いし足は触れているし、少女漫画の世界だったら主人公はきっとときめいていたに違いない。私は漫画の主人公ではないからそんなことは一切思わないけれど、美味しい光景であるとか変なことばかりしか思い浮かばなくて…とにかく場違いなことばかりを考えていたせいで、彼の存在に全く気が付かなかった。
「そ、爽ちゃん…?」
私の肩に、爽ちゃんの手がある。
そして、爽ちゃんの温もりを背後に感じて…少し斜め上を見上げてみれば、人でも殺したのかと問い質したくなるような目付きで栗井くんのことを睨んでいて。こんな顔の爽ちゃんは初めて見た。
「クリームくん、真夜に近付きすぎです。」
私の肩にあった爽ちゃんの手は頭へとやって来る。
栗井くんの方を向いていた私の頭は完全に彼の方へと向かされた。
「お前こそ真夜子と近すぎだろ。」
「僕はいつものことだから良いんですよ。」
「良いんだ!?」
栗井くんの質問返しに強気でとんでもないことを言い出す爽ちゃん。
思わずツッコミを入れてしまったけれど…彼はちゃっかりと『良いんです』と私に返答をしてくれた。ちゃっかりさんめ。
しかし『いつものこと』って…そうだっけ?私、いつも爽ちゃんにここまでくっ付かれていたっけ?
「そもそも臼田さ…お前、真夜と俺が話しているだけで何でそうやって怒るんだよ?」
軽い口調で栗井くんが爽ちゃんへと尋ねると、爽ちゃんの口からは重々しいドスの利いた舌打ちが飛び出してくる。
ヤバい…昔の優しい爽ちゃん像が音を立てて崩れていきそう。
「あなたが向ける真夜への視線が不愉快だからですっていうか生理的にあなたという存在を受け付けていない。」
(どんな理由!?)
失礼すぎだよ爽ちゃん!!生理的に栗井くんを拒絶しているだなんてそんな…それって栗井くん自体が嫌いなんじゃないか!視線が不愉快云々っていうより栗井くんが嫌いって言えば伝わるじゃないか!