ワンダー、フルカラー
(変なの…)

真夜の顔を見ていると、視線が自然と頬の方へと行ってしまう。
クリームくんが真夜のどちらの頬にキスをしたかは不明だけれど…彼女の頬にされたキスを擦ってなかったことにしたくて、

「そ、爽ちゃん…?」

気が付けば彼女の両頬に手を伸ばしている僕。
彼女の体温はポカポカとしていてとても温かい。癒される。
しかしそんなことは今はどうでも良い。真夜の頬に癒されるのは後回しだ。
僕はセーターの袖をビシッと伸ばすと、早速真夜の頬を上下に擦り始める。

「痛っ!!ちょ、何するのこれ!!」

相当驚いているのか、目を点にさせながら僕のことを見上げる真夜。
痛い?僕も擦られるのと同じくらい痛いよ。
胸が。

「すみません、汚れが付着してなかなか取れないもので。」
「取れないなら無理に取らなくても…痛いって!」
「いいえ満足するまで擦り続けますから。」
「何その嫌がらせ!!」

嫌がらせなんかじゃない。君の為にやっていることなんです。
…そう言えたら良いのだけれど、僕にも意地と言うものがあるから黙っていよう。



僕は一体、君に何という感情を抱いているのだろうか?





5話・完
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