【短編】天まで届け、この想い
Ⅱ
『あ、景ちゃん。
隆弘の母です。
今日は来てくれて
ありがとうね。…』
『…いいえ。』
沢山の椅子が並べられた
その式場に
足を踏み入れる。
目の前には
野球帽を浅くかぶっている
…あなたの写真がありました。
…あなたは今
何をしているの??
とめどなく
涙が流れはじめる。
…私が彼を見つけなければ。
…私が彼と同じクラスに
ならなければ。
…私があなたに
出会わなければ。
こんな想いをしなくて
済んだのかもしれない。
『…景ちゃん…』
周りの友達に
ハンカチを
差し出される。