《完》心の中の虚像 –幽霊と友達–
「違う、美陽(トモコ)違う!!」

 そんな、お父さんの叫び声を無視して、

「そして私は・・・」


 映像が切り替わった。


 あの工場の、正門あたりが映し出されていた。

 そこには、お父さんが中学生の時の頃の姿と、トモコがいた。


「柚木・・・いや、美陽。俺、美陽のこと、好きだから。」

 お父さん、顔が真っ赤。

「私を裏切ったくせに。最低!!」

 トモコが工場の中へ走った。お父さんも追いかける。


 トモコに追いついた。

 後ろから回り込み、トモコが止まろうとして、転びそうになったところを抱きしめる。

 もちろん、トモコは嫌がる。


< 57 / 95 >

この作品をシェア

pagetop