《完》心の中の虚像 –幽霊と友達–
 それから、ゆっくりとトモコの顔に近づいた。

 キス・・・

 お互いにとってのファーストキスをした。

 トモコにとっては、最初で最後のキスだった。

 トモコの頬には、涙が残った。


 血が流れいている場所に、お父さんの学ランを当てた。

 トモコのひざの下と、肩のところを持った。

 自分の胸に、トモコを寄せた。

 いわいる、お姫様抱っこ?だ。


 そして、走り出した。

 トモコの体の重さなんて気にせず。


 薄暗くて、何があるのか分からない。

 そんな中、無我夢中で走る。

 出口を目指して。

 まだ、温かい。

 まだ温かいから、早くしなきゃ。

 あせって、あせって、自分の体が引きちぎれそう。



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