《完》心の中の虚像 –幽霊と友達–
「政樹。も、う、いい、から・・・」

 トモコが精一杯声を出しても、聞こえないフリ。


 
 ようやく、抜け出せた。

 トモコをそっと置き、慌てて、工場の隣に立つ家に駆け込んだ。

 何とか、救急車を呼び出せた。


 来るのを待っている間、トモコの顔をじっと見つめていた。

「美陽(トモコ)、絶対生きて。お願いだから。」

 学ランを見たら、血だらけになっていた。


 救急車で運ばれたあと、急いでトモコの家に駆け込んだ。


 トモコのお母さんといっしょに、病院に駆けつけた。

 1時間後・・・

 亡くなった。

 ショックのあまり、病院を飛び出し、道路に出そうになった。

 
 トモコが、再び、壁を指差し、今度は押すようにやると消えた。

 
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