《完》心の中の虚像 –幽霊と友達–
「美陽・・・」

 トモコの口がようやく開いた。

「私、人を憎んで幽霊になった。」

 トモコは、一瞬言うのをためらった。


「幽霊になったはいいけど、皆から嫌われた。

 生前よりもっと。

 だから、早く成仏したいと思った。

 でも、生前人を憎んでいる者は、なかなか出来ない。

 唯一の方法は、自分と同じ名前の子と仲良くなり、意識不明にさせる。」

「えぇ!!」


 裏切られた。

 自分の願望のために、友情を使うなんて。

 友情をもてあそんでいる。


――トモコはそんな子じゃない。――

 そう信じたい。



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