ただ君が好きだから
プロローグ 大好きな人
物心がついた時から、周りには5人の男の子が常についてまわっていた。
何処へ行くにも、何をするにも……5人の男の子達はついてきた。
あたしは、其の5人の男の子達に『お嬢様』と呼ばれて……
そして、父様と母様はあたしにこう云った。
「この5人の男の子達は、みんな貴女の『執事』だよ」
『しつじ』って何だろ?
そう疑問に思って、あたしは自室のデスクの上にに置いてあった辞書で『しつじ』という単語を引いてみた。
『執事(シツジ)』
身分・地位のある人の家で、事務をとる人。
辞書を引いてみてもイマイチよく分からなかったから、あたしは父様と母様に意味を尋ねた。
すると父様と母様は、ふわりと微笑って、あたしに分かりやすく教えてくれた。
まだ『執事』という言葉も理解出来ないくらい幼い頃から、あたしには『執事』がいた。
その頃から、5人はあたしにとって『大好きな人』だった。
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