ただ君が好きだから
 
 
 
 
 
 
「はい、出来ました」
 
 
「わぁ……。本当に律花は何でも出来るのね!」
 
 
微かに頬を染めながら、ドレッサーの鏡で何度も髪型を確認するお嬢様。
 
頭の上半分の髪をひとまとめにして結い、お嬢様のお気に入りのリボンを髪ゴムの上から巻く。
キュッ、と音を起てて締まるリボンに少し満足し、全体の髪を櫛で梳いて整えていく。
 
極々シンプルな髪型だが、コレが一番、お嬢様の髪質を生かせるもの。
 
 
 
 
幼い頃から、お嬢様は自分の髪にコンプレックスを感じていた。
 
日本人離れした容姿に、お嬢様と同じ年齢の子ども達は皆、近寄ろうとはしなかった。
 
プラチナブロンドにウェーブがかった髪。
そして、翡翠色の瞳。
目鼻立ちもハッキリとしていて、金持ちが集まるパーティーでは『お人形さんみたいね』と云われていた。
でも多分、お嬢様はそんな言葉……嬉しくなかったんだと思う。
 
 
周りの大人達から褒められたりするより……
 
 
『友達』が欲しかったんだと思うんだ……。
 
 
 
 
口には出さないけれど、きっとそうだ。
 
 
現在、お嬢様は15歳……高校1年生。
 
この高校生活で、新しく友達ができるだろうか……。
 
 
ちなみに、今までお嬢様に友達ができたことは一度もない。
 
 
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