ただ君が好きだから
 
 
 
 
 
 
 
 
「じゃあ、快里。ちゃんと、入学式に来るんだぞ」
 
 
「はーい。真尋もちゃんと連れてくから、安心しぃや~」
 
 
朝食を済ませて、お嬢様の登校準備も確認した後に桜弥と桜羅、そして、那智と共に屋敷を出た。
新入生のお嬢様は、同じく新入生の快里に任せて。
 
 
「アイツ、大丈夫か……?」
 
 
「大丈夫なんじゃない? 一応、一緒に育ってきた執事だよ? 快里だってさ」
 
 
「ん。りぃちゃんも俺達と同じ教育受けたんだから、大丈夫……」
 
 
「……真尋嬢の平手打ち、今日は無かった……。オレは今日、生きていけるだろうか……」
 
 
せっかく、良い方向に会話が進んでいたのに……最後の奴が台無しにしやがった……。
 
とりあえず、今は登校しなければならないので無視した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「さて、と。高校生活3年目のクラスは何処かな~?」
 
 
学校に到着すると、校門近くの前庭に人だかりが出来ていた。
大きな掲示板には、生徒の名前がフルネームで記されている。
所謂、クラス表だ。
新2年生から新3年生までのクラス割りが記されている掲示板を、那智はいち早く確認しに向かう。
 
 
「今年も律花と同じクラスじゃなきゃ困るなぁ……」
 
 
「なんで困るんだ……?」
 
 
「だって!! 律花とクラスが離れたら、一体誰が、オレのことを足蹴にしてくれるって云うんですか!! 律花に足蹴にされない1年なんて……オレ、耐えられません……!!」
 
 
その場に崩れ落ちる、那智。
 
ホント、見た目は文句なしの王子系なのに……どうして中身はドMなんだろう……。
 
神様は何がしたかったんだろうか……。
 
 
.
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