ただ君が好きだから
「……はぁ。お前とはつくづく腐れ縁だな……」
グスグス、と泣き真似をして地面に座り込んでいる那智に声をかけながら、親指でクラス表を示す。
認めたくはないが、同じクラスのところに自分の名前と那智の名前が記されていた。
それを確認した瞬間、那智の表情が一気に明るくなる。
「律花と同じクラス……!! 神よ、ありがとう!! やはり神は、オレの味方だった!!」
神様もお前みたいな奴に好かれて気の毒だよ、とは云えなかった。
「律花と那智も同じクラスなんだね」
桜弥がにっこり笑いながら、そう声をかけてきた。
「あぁ。認めたくはないがな……」
「いいじゃない。気の知れた人が1人でも同じクラスにいたら、それはそれで安心するよ?」
「安心って……俺は今年から高校3年生だぞ。今更、新しいクラスに知り合いが1人もいなくたって不安になったりしねぇよ」
「そっかなぁ? 意外と不安になったりするかもよー?」
「まぁ、違う意味でなら不安だけどな……」
チラリと那智を見れば、キラキラと輝いた瞳で俺のことを見つめていた。
「コイツと一緒にいると、マジでロクなことがないからな」
溜め息を吐きながら云えば、桜弥はまたにこりと笑った。
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