ただ君が好きだから
「いやぁ、今年も可愛らしい新入生がいっぱいですね~」
「お前を見てたら、すべての人間が可愛らしく見えてくるがな、俺は」
そんなやりとりをしながら、正面玄関へと向かう。
普通の学校よりはかなり広い正面玄関が見え始めると、既に新3年生が新1年生の胸元にリボンを付けている光景が視界に入ってきた。
「真尋嬢は、もう来てるのかなぁ?」
那智がキョロキョロとしながら、真尋お嬢様を探す。
見た目が結構ハデめな快里を探した方が、手っ取り早く見つかるんじゃ……と思ったが、敢えて云わなかった。
「あぁ、いた」
未だにキョロキョロとする那智を放置して、俺は真尋お嬢様と快里の元へ。
「快里!」
「おー、律花! 良かったぁ……。人が多すぎてどないしようかと思っとったところやぁ……」
「悪い。もっと早くに見つけてやればよかったんだが……」
校門から正面玄関までは結構な距離がある。
桜並木が続いているため、普段歩き慣れない金持ちの子供でも一応は正面玄関まで辿り着くことができる。
が、人の多さに快里は少し疲れているようだった。
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