ただ君が好きだから
 
 
 
 
「……と、いうワケです」
 
 
「へぇ……。今までの学校もスゴかったけど、この学校は更に上をいくスゴさね。父様もよく分からない人だわ、相変わらず」
 
 
「旦那様はお嬢様のことを考えて、学校を選んでくださっているのですよ? そもそも、何処でもいいから決めてと旦那様におっしゃったのはお嬢様ではありませんか」
 
 
「そ、そうだけど……」
 
 
エントランスホールで話し込んでいたら、教師が入学式が始まることを知らせにやってきた。
大勢いる生徒の声にかき消されそうになりながら、懸命に連絡事項を報告している。
 
 
「入学式が始まりますね。リボンをお付け致しますので、動かないでください」
 
 
「う、うん」
 
 
真尋お嬢様の胸元にリボンを付けるため、制服の布を少しだけ引っ張った。
其処へ安全ピンの針を通して、カチリと留め具に針を引っ掛ける。
 
最後に綺麗に整えて……
 
 
「はい、出来ました。あとは先生方に従って、入学式へ御出席くださいませ。快里から離れないようにしてくださいね?」
 
 
隣で那智にリボンを付けてもらっている快里に視線を遣りながら、真尋お嬢様にそう云った。
 
 
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