ただ君が好きだから
 
 
 
 
幼い頃、俺達には『お嬢様』ができた。
 
 
お嬢様の第一印象は、5人全員、同じだった。
 
 
『まもってやりたい』
 
 
 
 
 
 
お嬢様は、典型的なお嬢様ではなく、大富豪のご令嬢にしては珍しい『活発すぎる女の子』だった。
 
すばしっこく屋敷内を走り回るわ、庭園の木に登るわ、花壇の花を引っこ抜いて花冠を作るわ……他にも色々と数え切れない程の悪戯をやらかしてきた。
 
そんなお嬢様を捕獲するべく、俺達は走り回る。
 
口では「いけませんよ!」とか云って説教をしているクセに、内心では、楽しくて仕方がなかった。
 
 
 
 
 
 
『俺達がお嬢様を護るんだ!』
 
 
そう、いつも胸に刻んで……
 
 
 
 
 
 
 
 
いつの間にか、『主人』という感覚から『大好きな人』という感覚に変わっていた。
 
 
 
 
 
 
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