ただ君が好きだから
 
 
―― 真尋side...
 
 
 
 
「……き、緊張し過ぎて、心臓が痛い……」
 
 
「なんやて!? だ、大丈夫なんか? 保健室、行くんやったら連れてってやんで??」
 
 
「だ、大丈夫……うん、気にしなくていい」
 
 
入学式が行われる、だだっ広い体育館。
其処に所狭しと並べられた少し豪華な椅子に、快里と一緒に座っている。
 
これから始まる高校生活に、あたしはドキドキしていた。
 
 
新しく始まる学校生活に対する、ドキドキ。
 
新しいことを見つけたり、学んだりできるドキドキ。
 
そして何より……
 
 
 
律花達以外の『友達』ができるかどうか、不安のドキドキ。
 
 
 
そういう気持ちが募って、募って……
 
 
心臓が痛いです……。
 
 
「真尋? ほんまに大丈夫なんか? 顔色、悪いで?」
 
 
「大丈夫! へへ、なんかこういうワクワクした気持ち、久し振りだなぁ」
 
 
「そのワクワクは、アレやろ? 律花と一緒に帰れるからとちゃうんか?」
 
 
「ち、違うよ!! 快里のばか!!」
 
 
すべてを見透かしているかのように、快里は意地悪く笑んだ。
図星をつかれたあたしは、精一杯の悪態を吐くことしかできなかった。
 
 
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