ただ君が好きだから
―― 律花side...
「……もう、こんな時間か……」
腕時計で現在時刻を確認して、俺はポツリと呟く。
多分其れは無意識に出た呟きで、後に那智に云われて気付いた。
「真尋嬢と快里、入学式終わった頃だよね!」
無駄に煌びやかな笑顔を携えた那智が、俺の視界に入ってくる。
……鬱陶しいから、視界に入れないようにしてたのに……。
「2人とも、絶対に居眠りしたと思うね! うん! 何故なら、このオレもあまりの退屈さに居眠りしたからさ!!」
「……そうだな。あまりの退屈さに、入学式中に暴れたもんな、お前」
「いやぁ、あの時のお説教は意外にもよかったよ~。ちょうどドSっぽい先生に怒られちゃってさ? もう、罵り方が様になってるのなんのって」
「ドMの語りなんざ聞きたくない」
ふい、と顔を逸らすと那智は泣きそうな声で俺の名前を呼んだ。
どうでもいいが、俺の身体に纏わりつくのはやめてほしい……。
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