ただ君が好きだから
「その冷めた視線……最高だよ!! やっぱり、律花はオレのツボを心得てますよね!!」
「お前のためじゃねぇ」
見た目は王子系なのに、中身はただの変態。
ナルシストでドMという、最悪のコラボレーション……。
昔から兄弟同然に育ってきたワケだが、何故、こんな成長を遂げてしまったのか……。
未だに、分からない。
「とりあえず、さっさと磨いて……セッティングしておいてくれな……」
「蹴ってくれたら考えてもいいですよ」
「……お前の調教コレクション、処分されたくなければさっさとやれ」
「そ、それだけはぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
バタン、と食堂の扉を閉めた。
扉の向こうからは、那智の悲痛な叫びが聴こえてきた。
「さて、と……そろそろお嬢様のヘアアレンジに向かいましょうか」
こんな朝が、毎日続くワケで……。
同じ執事のクセに、どうしてこんなにも手が掛かるのか……。
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