胸いっぱいの愛を君に
好きな子がいるの?
あんなに亜子のこと好きだったでしょ?

「その好きなやつっていうのが・・・。」
「・・・けないで。」
「え?」
「ふざけないでよ!!!」
あたしは耐え切れず叫んだ。

「亜子の気持ち考えたことあるの?無いよね?
 彼女いても平気で作っちゃうようなやつは!」
由紀は無言でこちらを見つめている。

「さゆかー??どこ言ったの?部活始まるよー」
美佳の呼ぶ声がする。

「あたし、あんたのこと好きだったんだからね。
 本当に誰よりも。がっかりした。」
そう言って部室へと向かった。

次の日、学校へ登校してすぐ亜子のところへ走った。
「あ、さゆかじゃん!おっはよ」
「亜子、ちょっといいかな?」
音楽室へ行き、ドアを閉めた。

「どしたん?こんなとこで話なんてっ」
「由紀のこと、亜子はどう思ってるの?」
「急にどうかした?」
あたしは、昨日のことを亜子に話した。

話し終わると、亜子は
「そっかあ、」
と言って椅子に腰掛けた。

「ごめん。話さないほうがよかった?」
「ううん。理由聞けて良かった。ありがとね、さゆ」
そうは言っても、やっぱり辛いだろうな。

「好きな人って誰なのかな。」
残念ながら、怒るのに精一杯で聞いていない。

じゃあ、とあたしはひとつ提案した。

内容は、あたしが由紀に直接聞いて
それを陰で亜子がのぞく、というもの。

亜子もこの提案に賛成し、さっそく放課後に
実行することにした。

授業が終わり、由紀を呼び出す。
あの学習室に・・・。

「話ってなんだよ?」
「こないだは、ごめん。
 あの、聞きたいことがあって。」
「何?」

「好きな人、誰?」

「え」
由紀は固まった。

「なんで?」
「え、」
「関係ないだろ」
「関係ない?亜子が悲しんでるのに。
 よくそんなことが言えるよね。」
「じゃあ言うよ。」
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