胸いっぱいの愛を君に

初恋

入学式からしばらく経ったある日。
麻衣はいつものハイテンションで
あいさつしてきた。
「おっはよーお」
「あ、おはよー」
最近、麻衣はいつもに増してテンションが高い。
たぶん、かっこいい人見つけた!
とか、そんな理由なんだろうけど。

教室には、愛羅とえりがいた。
えりとは、五十嵐栄李子(いがらし・えりこ)。
「おはよっ、えり&愛羅」
「おはー!」
「おはよう。」
えりは、4班であたしと同じ班だ。

もう1人・・・。
教室に入った瞬間、最初に目に写った人。
由紀尚人(ゆき・なおと)。
入学式に人目惚れして以来の
いわゆる、好きな人。

「あー、また由紀くん見てるう?」
麻衣は、こういうのを見逃さない。
「見てないしっ」
「見てたくせにー、」
やっぱり、麻衣には嘘つけないや・・・。

おととい、由紀くんが気になる、と
麻衣に伝えると
「どうせ、また適当な気持ちなんでしょ?」
と言われてしまった。

実は、あたしは本気の恋をしたことがない。
めんどくさいし、
第一、したって何の利益もない。

そんな理由で、彼氏がいたことはあったが
自分から告白したことはなかった。

これを1番知っているのは麻衣だ。
言われて当然っちゃあ当然。
だけど―――。
今回は違う。
本当に恋をしている。


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