胸いっぱいの愛を君に

崩壊

翌日、あたしは緊張しながら
麻衣と学校へ向かった。

「さゆかーっ!どうしよう?」
「どうしようったって・・・。」
「怖くて怖くて昨日眠れなかったんだよー」
「あたしも!」
そうこうしているうちに
学校の前に。

「おはよー」
静かにに教室に入る。
愛羅とすみれが声をかけてきた。
「おはよー*さゆか」
「おはよっ」
阿部すみれ(あべ・すみれ)。
愛羅と同じ小学校出身の女の子だ。

教室には由紀の姿はなかった。
が、机の中に何かが入っている。
『学習室に来い。 由紀』
伝言らしい。

学習室=使われていない教室のこと。

学習室の戸を開けた。
ガラッ
中には由紀がいた。

「お、おはよう。」
「おう、」
こんな会話でさえもぎこちない。

「返事だけどさ。」
「うっ、うん。」
「最高の親友だと思ってる。」
「うん・・・。」
また。沈黙だ。

「ごめんな。」
困った顔をする。
そんな顔しないで。
「あたしのほうこそごめん。」

暗い顔で、教室に向かった。
「さゆかあー、」
麻衣が心配そうにこちらをみつめる。

「だめだったよ。」
「そっか・・・。
 また次があるよ!」
「ありがとう。」
よく見ると目が腫れてる。

麻衣もふられちゃったんだね。
あたしたち、本当、似たもの同士。
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