こころ、ふわり
「いつから徳山先生と付き合ってるの?」
私が試しに質問を投げかけてみる。
彼女はいとも簡単に答えてくれた。
「去年の冬から、かな」
「じゃあもうすぐ1年になるんだ……」
よく1年近く付き合っていて全然噂にもならなかったと感心してしまう。
学校内では他人のように接しているからなのだろう。
だって、前に駅前で2人を見かけた時の徳山先生の笑顔が忘れられない。
見たこともない笑顔で彼女と歩いていた。
「ね、ちょっと小耳に挟んだんだけど、あんた芦屋先生のこと好きなんでしょ?」
相川澪の突然の発言に、私は飲んでいたジュースが喉の変なところに入ってしまい、呼吸困難張りに咳き込んでしまった。
ゲホゲホ咳をする私を見て、彼女はまた楽しそうに笑うのだった。
「ど、どうして知って……」
言いながら自分で顔が赤くなるのが分かり、恥ずかしくて彼女の顔を見れなかった。
今日だけで真司とこの子に、私の気持ちが知られていることが分かった。
菊ちゃんにしか話していないはずなのに、どうしてみんな知っているのだろう。
まさかまさか、学校中の生徒が知っていたりして……。
思考がどんどんマイナスになってしまい、それはエスカレートするばかりだった。