こころ、ふわり


「修学旅行の話し合いはどう?進んでる?」


帰り道に菊ちゃんに聞かれて、私はうなずいた。


「うん。高野先生が決定権持ってる感じで誰も逆らえないから、逆にどんどん決まってるよ」


「うわー、想像つくんだけど」


ものすごく嫌そうな顔をする菊ちゃんが面白くて、私は思わず吹き出してしまった。


「芦屋先生とは話したりできるの?」


ふと出てきた芦屋先生の名前。
ちょっとだけドキッとしてしまう。


「それが……全然。生徒と先生たちは離れて座ってるし、なにより芦屋先生があの場で発言してるの聞いたことないや」


もともと芦屋先生は物静かだし、自らすすんであのような場所で張り切るタイプでは無さそうだ。


きっと修学旅行の引率の手伝いをするくらいの気持ちなんだと思う。


赴任してきてまだ日が浅いし、担任を持っているわけでもない。


それでも修学旅行に一緒に行けるのは、私にとってはとても嬉しいことではある。


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